2022年12月1日
僕んとこのトイプー、でっかいねん。名前はもっちゃん。
茶色でふわふわで目がクリクリなんやけど、重たいねん。
ホントは小さいトイプーが良かってんけどなあ。ティーカップみたいなやつ。
こんなでっかかったらトイプーちゃうもん。今度飼うんやったら絶対小さいトイプー飼うわ。重いし嫌や。
そんなある日、そんなもっちゃんが逃げてん。
家の庭から柵飛び越えて。猫が見えたんで、それ追っかけてな。
僕は追いかけた。めっちゃ走った。道路で車に引かれたらどうしよう。大変や、大変やん。もっちゃん、もっちゃん、もっちゃん。
曲がり角を曲がったすぐのとこ、いつもおしっこする電柱のそばでもっちゃんはおすわりしてた。
僕を見上げて舌出して笑ってた。いつものクリクリの目で。ああよかった。びっくりしたやん。
「もう、もっちゃん勝手に外出たらあかん。危ないやん。もう帰ろう」
僕はそう言ってもっちゃんを抱えた。めっちゃ重い。家まではまだだいぶある。リードがないから抱いて帰らないとしょうがない。
その帰り道同級生のたっくんに会った。学級委員で頭がええねん。
僕はもっちゃんを抱えてひいひいひい。
そんな僕を見てたっくんは言った。
「自分のトイプーめっちゃでっかいな。俺ん家も今度トイプー買おうって思ってんねんけど、そんなでっかいの絶対嫌やわ。白くてちっちゃいの飼うねん。」
僕はもっちゃん抱いたまま。
風がぴゅーっと吹いた。もっちゃんがつられてワンと鳴いた。
僕はもっちゃんを見た。相変わらずのクリクリの目。
僕は笑った。
「たっくんあかんな。なんも分かってないな。小っちゃかったら、もっちゃんちゃうやんな」
僕はもっちゃんに言ってひいひい帰った。